Jiangsu Changjiang 2SC1815 は台湾Jiangsu Changjiang(JSCJ、JCET、江苏长晶科技股份有限公司)の汎用小信号シリコントランジスタ。NPN型。TOSHIBA 2SC1815 のセカンドソース品。Jiangsu Changjiang 2SA1015 とコンプリペア。
TO-92形(EIAJ : SC-43)。2SC1815 は定番の品種のため、各社がセカンドソース品を作っているが、多くのパーツ店で取り扱いがあるセカンドソース品の中での定番品。マーキングは本家と同じ横向き。
データシート上の数値で本家と違うのが、Tj(接合温度)が 125℃ → 150℃、Vce(sat) の Typ. の規定がない、Cob の Typ. の規定がない、NF の Typ. の規定がない。他の数値はほぼ同じ
特性などはオリジナルにかなり似せてあるように見える。Ic-hFE特性は素子間のバラつきがあり、本家ではスパッと横一直線になるのに対し Ic(Ib)によって値が動くのが気になる。このクラスでは特性の良い他の品種(例えば、ROHM 2SC1740S など)がいまはまだ手に入るので、わざわざこの品種を指定して購入するメリットは感じられない。強いて挙げるとすれば、コストが安い(5円)ことくらいか。
素子のインピーダンスの高さ(定電流性の高さ)と比例するアーリー電圧が実測値で約73V と、本家TOSHIBA 2SC1815 の約138V と比べて低い。カレントミラー回路など、トランジスタの定電流性を利用した回路で使用した場合、回路全体の性能に影響する。
同社が製造販売している Jiangsu Changjiang C945 と特性が酷似しており、わざわざ汎用品種を作り分けるとは考えづらいこと、ランク分けが同じ、Ic が同じ、Pc が同じになっていることなどから考えて、同じチップをそれぞれの型式のものとしてマーキングを変えて販売しているものと考えられる。
写真のものは、2023年に aitendo で購入したもの。hFE は一般的な、GRランク(200-400)。
同一ロット品からサンプルを 5個、適当に抽出して hFE を測定したもの。Ic = 1.0mA付近の数値で、343、375、359、366、358 とバラつきあり。本家が恐ろしいほど特性が揃っているのと比べると見劣りする。なお、Ic(Ib)依存も少しあり、Ic によって hFE が上がったり下がったりする個体がある。一般的に、この領域では Ic が増えるほど hFE は下がるが、Ic が増えるに伴ってIc が上がる個体(サンプルの hFE : 343 の個体など)もある。測定条件は Vce = 7.0V。
以下の特性は、hFE : 343 の個体を計測。
Vce-Ic特性。低電流、能動領域では Vce依存が少なく、横一直線に伸びている。Ic間も一定で、Ib依存が少ない。測定条件は Vcc = 7.0V。
アーリー電圧(VA) は約73V。
飽和領域のVce-Ic特性。こちらも低圧から申し分のないキレイな特性。
サンプル5個(hFE測定と同じ個体)の Vbe-Ic特性。測定条件は Vce = 7.0V。
(続く)