6BM8S アンプの製作

試聴

製作が完了したら,簡単な電圧の確認と五感によるチェックを一通り終えたら,オーディオシステムに組み込んで音を聴いてみます.普段聴き慣れた音を聴く事で,アンプに変なところがあればすぐに気付きます.測定器によるチェックで見落とすような点も,耳は逃しません.また,音質が良くないのであれば,アンプを作った意味がありませんから,改良を余儀なくされます.

初めに気になったのがハム音です.今作はチョークコイルを用いておらず,またスペース等の関係で平滑コンデンサも小さめなので仕方ありません.内部抵抗が低い3極管は電源のリップルに弱いのです.

この点は初めから想定していたので対策します.初めに試したのは3端子レギュレータを使った安定化電源です.電圧が高いので,ツェナーダイオードでかさ上げした電圧を基準として,100+150+15 = 265Vで安定化します.しかし,入力電圧に余裕がないためか,リップルは取りきれませんでした.また,安定化電源の音は嫌いなので,取り外すか迷いながらも,まずは入力電圧を高めるべく,トランスの2次側を240V端子から280V端子に変えてみました.ところが電圧が高すぎたようで,一瞬で3端子レギュレータは飛んでいきました.

当初設計した通り,整流後の電圧を高くし,降圧のための抵抗を高くする事で,チョークの代わりとすることにしました.B電圧が低めで良く,整流後の電圧が高すぎる本機では一石二鳥の方法です.π型フィルターを500と200で構成し,ハムはほとんど気にならないレベルとなりました.

あとは各ジャンルで聴き慣れた曲でできあがりをチェックします.

このコンテンツは 2003年に別のサイトに掲載したものを加筆、修正して転載しています。