NEC 2SA733 は NEC(日電、日本電気)の開発した汎用小信号シリコントランジスタ。エピタキシアル形、PNP型。NEC 2SC945 とコンプリペア。
TO-92形(EIAJ : SC-43)。2SA733 は定番の品種のため、各社がセカンドソース品を作っている。ただし、本品種のセカンドソース品は、本品種をコピーしたというより、他の汎用品種(東芝 2SC1015 のセカンドソース、2N3906 など)のチップを流用してマーキングだけ変えたものが多く、性能面で本品種より劣る。
長らく、三洋 2SA608、日立 2SA1029、三菱電機 2SA999、松下電器 2SA564A などと並んで定番の汎用品種として重宝されたが、東芝が 2SA1015 を開発したことで定番品種の座を奪われ、2000年代には廃品種となり NEC、日立、三菱電機のディスクリート半導体事業を継承したルネサスでは製造されていない。
NEC 2SA1175 はサイズが小さい(TO-92S)だけでほかは同じモノ。hFE のランク分けが細かい。サイズが小さいため、大量生産のメーカ製では重宝された。
本品種には、2SA990 という後継機があるが本品種ほど普及しなかった。
hFE は低めの Pランク(200-400)。
同一ロット品からサンプルを 5個、適当に抽出して hFE を測定したもの。Ic = 1.0mA付近の数値で、298、314、299、367、301 とほぼバラつきなし。測定条件は Vce = 6.0V。
以下の特性は、hFE : 298 の個体を計測。
Vce-Ic特性。低電流、能動領域では Vce依存が少なく、横一直線に伸びている。Ic間も一定で、Ib依存が少ない。測定条件は Vcc = 7.0V。
アーリー電圧(VA) は約56V。これは PNP の品種としては非常に優秀な数値。
飽和領域のVce-Ic特性。こちらも低圧から申し分のないキレイな特性。
サンプル5個(hFE測定と同じ個体)の Vbe-Ic特性。測定条件は Vce = 6.0V。
(続く)